日本、格差が拡大した結果「中流家庭」が消滅し、新たに「新下流層」が出現。この家庭の子達は支援から漏れる可能性が

年収600万円でも苦しい…少子高齢化で目に見えない「中流子育て世帯」の貧困

「コロナも5類になって、経済は戻ったのではないか？　と思う方も多いでしょう。しかし、実は今年が一番深刻で食料支援が必要です。物価高騰で、低所得者層ではないとされる世帯での子どもの教育や体験に大きな影響を及ぼし始めていると感じます」

(中略)

実は、少子高齢化が進んだ日本では、高齢者を含む全世帯の所得で貧困ラインを設定すると、大きく下振れしてしまうのです。年金収入のみや無収入の世帯が多いため、高齢者世帯の平均所得は当然低く318.3万円です。全世帯の平均所得は545.7万円、児童のいる世帯は813.5万円となっています。一方世帯数では、高齢者世帯が全体の31.2％に対して、児童のいる世帯は18.3％しかありません。平均所得が低い高齢者が増えるほど、全世帯の平均所得が下がるため貧困ラインも下がりますが、それを持って、子どもを養育し、教育費を負担している子育て家庭に対して、あなたは貧困ではないので、国や行政の支援の対象から外します、といわれてはたまったものではありません。

消滅した「中流子育て家庭」

(中略)

「新下流層」の子どもが支援から弾かれる可能性

少子高齢化が今のまま進めば、一人暮らしの高齢者世帯の比率はますます上がり、その結果、全世帯所得は下振れし、年収500万円は中流というイメージが続くかもしれません。しかし、子どもを持つ家庭に限れば、年収500万円はもはや下位。年収1000万円以上の層が増える中で、困窮者対策を従来の住民税非課税などに限定すれば、そこから弾かれ、政府の支援が受けられない「新下流層」の子どもたちが、十分な教育を受けられずに貧困層になる可能性が高くなります。

　子どもを持つ世帯の所得の年次の推移を見ると、昔は中央値を頂点とする山型でしたが、最近は、年収600万円と年収1200万円という2つの頂点をもつM字型に変化しています。このままいけば、教育格差はますます拡大するでしょう。今後支援が必要なのは、従来の貧困層に加えて、中流と呼ばれている年収が600万円程度までの子育て家庭です。日本の子育て家庭に限れば、中流は消滅し、上流と下流に二分化しているのです。これは、さらなる少子化や国力の減少につながります。

　年収400万円から600万円程度の子育て家庭は、低所得とは区分されないために、現金給付や給付型奨学金などの低所得層を対象とした様々な政府の支援策を受けられません。しかし、年収600万円程度でも、かなり生活が厳しいと感じる子育て家庭は多いでしょう。

　現政権では「分厚い中間層の再構築」が掲げられていますが、コロナ禍と物価高騰がもたらしたのは、一部の富める人と、そうでない人々という2極化ではないでしょうか？　賃金や株も上がる富裕層と、賃金は上がらず株も持たない貧困層という、日本では今まであまり見られなかった格差社会が広がり始めています。このまま格差は拡大し、社会の不安増大するのか？　日本の強みと言われる中間層が復活するのか？　今はまさに分岐点だと感じます。
親の所得にかかわらず、すべての子どもが十分な栄養をとり成長していく、その足元が崩れていることを、社会全体で認識し、最優先で対応して行くことが必要だと感じます。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/fbb9c10ef0ea79823917f1346bb6d2b6b9a18026