トランプさん、カーク氏射殺は「極左の犯行」「左翼の過激な言動がテロの原因だ」としカーク氏に自由勲章を授与を決定。

【ニューヨーク＝金子靖志、ワシントン＝阿部真司】米西部ユタ州で保守系団体のチャーリー・カーク代表（３１）が射殺された事件で、同州に住む２２歳の容疑者の男が拘束された。詳しい犯行動機はまだ明らかになっていないが、トランプ大統領は当初から事件について「極左」による犯行との見方を示してきた。今後も敵対勢力への攻撃に利用するとみられる。

事件を巡るトランプ氏の発言と主な政権の対応
地元当局によると、拘束されたタイラー・ロビンソン容疑者は、家族との会話で、トランプ氏を支持するカーク氏について否定的な発言をしていたという。今後、米連邦捜査局（ＦＢＩ）が動機の解明を進める。

トランプ氏は１２日に出演したＦＯＸニュースの番組で、地元当局の記者会見が行われる前に容疑者の男が拘束されたと明らかにし、「死刑になってほしい。チャーリーは素晴らしい人物だった。こんな目に遭うべきではなかった」と語った。

米連邦捜査局（ＦＢＩ）が１１日に重要参考人として公開した画像
政権は事件後、異例の対応を重ねた。哀悼の意を示すため、全ての連邦政府や軍の施設などで半旗を掲げるよう指示し、トランプ氏は米大統領が文民に与える最高位の「大統領自由勲章」をカーク氏に授与することを決めた。バンス副大統領は１１日、事件現場のユタ州を訪れ、遺体を副大統領専用機でカーク氏の自宅があるアリゾナ州に搬送した。

トランプ氏は１１日、記者団に「この国には極左の集団がいる」と述べ、容疑者が明らかになっていない段階で、事件を左派勢力によるものだと非難。１０日のビデオ声明でも、「テロリズムの直接の原因は過激な左派の言論にある」などと述べ、事件を左派によるカーク氏への批判と結びつけていた。

ビデオ声明では、自らが狙われた昨年の暗殺未遂事件や、２０１７年に共和党議員が重傷を負った銃撃事件に言及した一方、今年起きた民主党の知事や州議会議員を標的とした事件には触れなかった。政治的動機に基づく数々の事件が、自身の敵対勢力によるものだと印象づける狙いがあるとみられる。

政敵に矛先を向けるトランプ氏の一連の発言は、歴代大統領がテロ事件後、国民に融和や団結を呼びかけていたのとは対照的だ。米ニュースサイト・アクシオスは「米国は党派間の憎悪と過激主義によってあおられ、暴力のスパイラルに陥っている」と指摘した。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250913-OYT1T50032/