電車「車椅子なら○両目に乗ってください」車椅子「断る。私は制限を受けずに自分の乗りたい車両に乗る権利が保障されないのか」

自立を目指し努力をされた上で、福祉サービスを活用しながら一人暮らしをされている方でした。その方も講演の中で、介助者とともに電車に乗ろうとして不当な扱いを受けた経験を語っていらっしゃいました。

記憶が曖昧なので細かなことは書けませんが、乗車を申し出たら「あなたは車椅子なので○両目（確か車掌さんがいる車両だったと思われ）のこの位置に乗ってください」と言われ、それを拒否したお話でした。

当時の私はそれを聞いて「それはわがままでは」とまず思いました。車椅子に乗っているのだから安全な位置に誘導されただけでは、違う方法を提案しているのだから駅に非はないのでは、と思いました。私にリプライをされている皆さんもおそらくは同じように感じられるでしょう、私も数年前はそうでした。

その後に演者の方が訴えた言葉に、脳天を撃ち抜かれたような気がしたんです。
「私は制限を受けずに自分の乗りたい車両に乗る権利が保障されないのか」（記憶が曖昧なので言葉は正確ではありません）

乗りたい位置に乗る、健常者に当たり前に行使できるその権利がなぜ「車椅子に乗っている」という理由で阻まれねばならないのか。

でも、同じ国民として生きている以上、自分が健常者として当たり前に享受している利益が障害を理由に阻まれてはいけないこと、当たり前に保障されている権利が障害を理由に侵害されてはいけないこと、それは、常に意識していないといけないことなのだと思うのです。

そして、我々がナチュラルに差別に手を染めてしまっている現状に対して罰則規定はないものの義務として明確に課せられたのが「障碍者差別解消法」の合理的配慮の提供義務だと考えます。

たくさんのリプライが示しているように、我々はいとも簡単に、ナチュラルに、我々にとっての合理性を理由に障碍者を差別してしまいます。仕方がないという言葉で正当化して。

だからこそ我々にはこの法律が必要だったのだろうなと思うのです。なんさんが仰っているように、双方の権利は常に拮抗します。障碍者の権利を優先すればその周囲で「踏まれる」人たちが出てしまうかもしれません。

私が子のことで支援を申し入れるとき、支援員さんや教員の手を取ることはつまり他の子の権利を侵害することにも繋がりかねません。権利は常に拮抗する。100％が通るわけ、受け入れられるわけではありません。

でも、それでも私たちはやっぱり、最初は100％を訴えねばならないんです。その上でお互いのやりとりを重ねながら落とし所を見出していくしかない。その100％を訴える段階が、ハンディを持たない人たちにとってはわがままに見えるかもしれません。

障害のある方が忖度をして最初の要求を100のうち50にしてしまったら、交渉はその50からのスタートになってしまい、不利益を被る可能性が高くなります。
対等な交渉相手に対して、やはり我々は100を要求していかねばならないのだと考えます。

100を通すことが目的ではありません。
最終的にそれが60になることも30になることもあります。ゼロになることももちろんあり得ます。
でも、最初を100にしておかなければ、我々の求めるものが何かを明確には伝えられない。ニーズが浮き彫りにはなりません。

我々が100を求めたとき、相手に交渉のスタンスがないと我々はいとも簡単にクレーマーに見えることになります。わがままを通そうとしていると受け取られてしまう。（もちろん、そうしようとする当事者がいる可能性は否定しませんが私はやりませんし勧めません）

この交渉のプロセスに関しては「合理的配慮の合意形成プロセス」として総務省だったと思います、法律の施行と同時に提唱されていますので、興味のある方は是非検索なさってください。事業者側としてどのような対応が必要かが明確になると思います。