「悪魔の子だ。投げ飛ばせば悪魔から解放される」と幻聴に唆されて息子を殺害したお母さん、無罪

生後１カ月の長男に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死罪に問われた女性被告（３９）の裁判員裁判の判決で、横浜地裁は１２日、被告が心神喪失状態だった疑いが残るとして無罪を言い渡した。求刑は懲役５年だった。
　判決理由で奥山豪裁判長は、暴行の背景には幻聴などの影響があったと認定。事件当時の被告は「統合失調症による幻聴などの圧倒的影響下にあった」として、刑事責任は問えないと判断した。

公判で被告は起訴内容を認め、弁護側は統合失調症と診断された起訴後の鑑定結果を基に「『投げ飛ばせ』という幻聴の影響で、心神喪失状態だった」と無罪を主張。検察側は、被告が起訴後に明かすまで周囲は幻聴を把握しておらず、「鑑定は信用できず、育児のいら立ちが動機」として、完全責任能力があると主張していた。
　判決によると、被告は２０１８年８月２２日、神奈川県大和市の自宅で長男を床に投げるなどして急性硬膜下血腫で死亡させた。
　横浜地検の安藤浄人次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

「悪魔の子だ。投げ飛ばせば悪魔から解放される」。幻聴の影響で被告が犯行に及んだ可能性を否定できない―。横浜地裁はそう判示し、被告を無罪とした。

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